手をとりあって。

私はイギリスのバンド、QUEENが好きだ。

今から20年ほど前、当時小学4年だった頃にQUEENのベストアルバム「Jewels」が発売された。

父親がたまたまそのCDを買い、感銘を受けて、その時から聴いている。

 

しかし5年前にのちに妻となる女性と同棲し始めてからはあまり聴けなくなってしまった。

彼女の元カレがQUEEN好きで彼のイメージがあるから、というのが理由だ。

それを気にしたのが彼女なのか当時の私なのかはもう覚えてない。

 

彼の事は私はあまり知らない、会った事もなかったか、一度すれ違った事があったか。

いずれにせよその程度だったと思う。

 

彼女の中で彼の存在は当時とても大きかったように思う。

というより、彼女は過去の男性を引きずるタイプかもしれない。彼女が別れを切り出したとしても、その後の動向が気になるし、その動向を知ってまたイライラしたりしていたと思う。

流石に最近はなくなった。ただ私に見せなくなっただけかもしれない。

 

だから彼のイメージの滲みていたQUEENを避ける事になった。

 

この事に、物凄く腹が立つ。

なぜ私が好きなQUEENを聴く事を我慢しなければならないのだ。

先ほども申し上げた通り、彼女発信ではなく、私が気を遣って避ける事になったかもしれない。本当に覚えてない。

にしたって、何か腹が立つ。なぜ私が気を遣わなければならないのか。

 

そもそも、先にQUEENを好きになったのは私だ。

彼女は私の5歳歳下、彼は彼女の1歳上だったと思う。つまり私と彼は4歳差だ。

私がQUEENに出会ったのが10歳だから、彼が私より先にQUEENを好きになるためには、6歳の段階でQUEENを好きになってなければならない。

ありえない。絶対にありえない。

もっと言えば私は3〜4歳の頃にハッチポッチステーショングッチ裕三ボヘミアン・ラプソディのPVをパロディしつつ、

犬のおまわりさんをMIXした曲でQUEENを認識したという、

本当の話ではあるが若干苦しい論理のエピソードもあるからもう勝てるはずはあるまい。

 

とにかく、時系列的に先にQUEENを知ったのは私なのだ。

彼は小学生の時に夜な夜な、歌詞カードの解説を読んでRadio Gagaの背景に理解を深めたりしていないのだ。

The Show Must Go Onの背景に涙したりなどしていないのだ。

古参ファンがJewelsを快く思っていないと知ってしまった夜などないのだ。

(それでも私はJewelsのおかげでQUEENにハマれたので感謝しかない)

 

そんなペーペーの奴に気を遣ってなぜ私がQUEENを避けて生きなければならないのか。

ただただ彼女と出会ったのが彼の方が早かっただけなのに。

 

私は彼女の中のQUEENを私の物に、QUEEN=私にする自信がなかったのかもしれない。

上塗りできるほどの何かが私には無いと思ったのだと思う。

彼のせいではないかもしれないが、このやり場のない怒りは関係性がないからこそ、彼に向いてしまうのだろう。

 

今日、そんな彼女が産んだ1歳の娘にDon't Stop Me Nowを聴かせて、一緒に踊っていたら足をグネってしまった。

どういう形であれ、幸せと引き換えにQUEENを失う運命だったのかもしれない。

 

<ここから蛇足>

ちなみに、私が一番好きなQUEENの曲はKiller Queenだ。

当たり前にあった、昔から決めていた答えのように堂々としているが、めちゃくちゃ悩んだ。

決め切るのには本当に40分くらいかかった。

 

Made in Heavenがめちゃくちゃ好きだが、QUEENバージョンはフレディの死後リリースということもあって、一番とするのにはなんだか気が引けた。

Under Pressureも無人島にQUEENの曲を一曲しか持って行けないならコレにするくらい好きだが、

純粋にQUEENの曲かと言うと怪しい。

One Visionも好きだが、好きなのはイントロのゴーストチックな遅回しの部分がメインだ。

などと考えていて、最終的には小4の時に最初に刺さったKiller Queenにしたのであった。